2017年6月29日木曜日

数学について その3



前回で、大学受験で数学が「使える」レベルになるのは、全人口のうち10%強、8人から10人に一人である、とお話ししました。
中学のクラスが32人いたとすれば、その中でわずか3人か4人です。
もう、絶望的な数字ですね。
数学なんて、できないのが普通なんです!
苦手な人は数学なんて捨てちゃいましょう!
我が子に数学ができることを期待するのはやめましょう!

・・・しかし、どうしてもその中に入りたい、どうしても数学を使いたい、という場合はどうすればいいのでしょうか?
小学校低学年や入学前から鍛えればいいのか?
小学校高学年から? 中学から? 高校からでも頑張れば数学ができるようになるのか?
その答えは・・・私は以下のように考えています。

➀中2の計算
②中3の計算

です。
中2では指数の大きな文字式の四則(足し算、引き算、かけ算、割り算)混合問題と、等式の性質を使った等式変形、そして中学数学で最も計算ミスが多くなる連立方程式を扱います。
中3では、因数分解と平方根(四則)を扱います。
これらの単元は、どれひとつを欠いても高校数学はできないので、これらがスラスラ=計算ミスが1%未満で、プロが認める途中式で、プロと同じくらいのスピードでできれば、高校で数学を使うことができます。
え? 応用問題? いいえ、できなくていいです。
まず、何よりも、計算ができることが必要です。
これらを、大事なので繰り返しますが、

・計算ミスが1%未満で
・プロ(学校の先生や塾講師)が認める途中式で
・プロ(学校の先生や塾講師)と同じくらいのスピードで

できれば、高校数学で挫折する心配はほとんどありません。
逆に、これらのレベルに達していなければ、どんなに応用問題をがんばっても、大学受験で数学は使えなくなるでしょう。
だって、大学受験で計算ミスって、即!不合格! ですよ。
中学とは比べ物にならない、難しい大量の計算をして、それでもミスをしたらいけないんですよ。
中学レベルでバシバシ計算ミスをするのであれば、計算ミスをしないように改善するか、大学は私立文系を覚悟しましょう。
厳しいですが、だからこそ、全人口の1割しか高校数学ができないんです。

以前、旧勉強法の真実ブログだったかな?で、「中3の数学ができれば高1の数学ができる」と書きました。
これは、経験上だけではなく、カリキュラムとしても事実です。
具体例を挙げますと、
(中3)式の乗法・除法 →(高1)整式
(中3)因数分解   →(高1)因数分解
(中3)平方根    →(高1)実数・根号を含む式の計算
(中3)2次方程式  →(高1)2次方程式
(中3)2次関数   →(高1)2次関数
(中3)相似     →(高1)平面図形
(中3)円の性質   →(高1)平面図形
(中3)三平方の定理  →(高1)三角比
(中2)場合の数・確率 →(高1)場合の数・確率
(中1)資料の整理   →(高1)データと分析
(中1)空間図形     →(高1)空間図形
(中学に該当単元なし)→(高1)集合と命題、不等式
と、このようになります。
高1の数ⅠAで扱うほとんどの単元を中3で、一部を中1・中2で扱っていることがお分かりいただけたかと思います。

ウチの塾でも、中1までの数学がメタメタだったのに、中2から猛烈に追い上げて理系の難関大学に入ったり、文系でも数学で受験した子が何人もいます。
もちろん、九九の素養とか(こちらは後述します)チェックポイントはありますが、小学校の算数が人並みくらいできれば、中2からでも数学は鍛えられることを私たちは知っています。
それでは、ご高説はこれくらいにして、いよいよ具体的なお話をさせていただきたいと思います。


つづく



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2017年6月21日水曜日

数学について その2



前回、数学にも「ある程度の」才能が必要であるという点と、ある程度の才能が必要なのは数学に限らない、というお話をしました。
では、どの程度の才能が必要なのか? ということを、具体的に考えたいと思います。
前提として、センター試験の数Ⅱで7割、ニッコマの数学で9割取れることを目標にお話をいたしましょう。

学校(小中高)のカリキュラムは、本当によく組まれています。
こればかりは、さすが官僚は勉強がよくわかっているんだなあ、と敬服します。
文科省のカリキュラムに対しての批判をほとんど見ないのも納得です。
で、そのカリキュラムの何が優れているかというと、キチンとステップになっている点はもちろんのこと、適度な負荷がかかっているという点です。
ここで、「適度な負荷がかかっている」ということには、「子どもをふるいにかける」というシステムであることをまず、ご理解ください。
薄々感じている方は多くいらっしゃると思うのですが、こうはっきり言い切るとあまりいい気分はしないですね。
しかし、学年を追うごとに数学についていける子が少なくなり、ついに大学受験では、18歳人口120万人のうち、センター試験で数学を受験する生徒は40万人となります。
センター受験者には浪人生が20%含まれるので、乱暴な計算をすれば、現役で数学を受験する人は32万人くらい。(データが非常に少ないのでかなりアバウトです)
すると最終的に数学を使うのは、人口の26%! です。
非常に少ない数値ですが、私としては26%でも、「こんなにいるの?」と思ってしまいます。
個人的には10%くらいかと思っていました。
しかしそれもそのはず、センター平均を超えるのは26%の半数。
「数学ができる」というためにはセンター平均はほしい。
よって、センターで平均点以上取れる人は、全体の13%であると言えます。
これは塾屋である私の感覚とも近いため、非常に納得です。
しかもこれは数Ⅰでの話。数ⅡBになるともっと減るでしょう。
どこかで「中3で半数が数学でつまずく」というデータを見たことがありますが、高校ではさらに半数以上が数学から脱落しているということになります。
ですから、データからすれば数学ができないのが普通。向いていないと思ったら早いところあきらめるのが賢い・・・のか!?

とはいえ、あきらめきれないのが親心というものですし、中高生自身も、できれば数学を使って受験したいという希望を捨てきれないこともあるでしょう。
というわけで、次回より、どうしたら数学を捨てずに、あきらめずに済むか、というお話をさせていただきます。

つづく


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2017年6月15日木曜日

数学について その1


旧のほうの「勉強法の真実ブログ」では数学についての記事を扱っていたのですが、このブログではいまだ書いていませんでした。
ずっと書きたいと思っており、「きっとこうだろう」という分析も方法論もあり、実戦もしているのですが、なぜか書けなかったのは、その量が膨大になりそうだったからです。
言い換えれば、面倒く・・・(ry
しかし前の記事でパリピもオタクも数学が得意だったことを考えると、ここはもう書く流れだろうと、きっと皆さんのためになるだろうと思い、遅くて重くて下手な筆を執ることにいたしました。
数学の記事なのに個人の感想がかなり入っていますが、ネットを見ても皆さん悩んでいらっしゃるし、そもそもデータがネット上にあまりないようなので主観も入りますが、できるだけ引用や具体例などをご紹介しながら書かせていただきます。

それでは、まず第一のテーマからまいります。
それは、「数学に才能は必要か?」です。
これには早速お答えします。
答えは、

「大学受験までに限れば、ある程度の才能は必要だが、天才である必要はまったくない」

です。
さらに、

「ある程度の才能が必要なのは他の科目も同じ」

であると言えます。
例えば、英語だって英単語を覚える能力(才能)がなければ、大学受験で英語を受験科目にするのは無理というものです。
同じく、詳しくは後述しますが、中学数学の計算ができるという能力(才能)がなければ、大学受験で数学を使うことはできません。

ここまでで、「才能」は「能力」に置き換えられる、ということがお分かりいただけたかと思います。
つまり、才能=能力とは、先天的な潜在能力も必要ですが、後天的に身につける実力も必要だということです。
先天的な能力には、先天的な知能指数だけでなく、集中力をもって努力そのものができるかどうかも含まれます。
後天的な能力には、学年ごとにそれなりの努力をして身につけるすべての力が含まれます。
このように、真実として、「ある程度の才能=能力」はどうしても必要となります。


(補足です)
*先天的な知能指数については、教育に詳しい評論家の和田秀樹さんが、著書の中で「知能指数85の子が東大に合格した」とおっしゃっていたので(平均は100)、高くなくても大丈夫なようです。私も知能指数はがっつり平均ですし、経験上、分数や暗記ができれば問題ないと思っています。
むしろ、「努力できる意欲や気力」が大切かなあ・・・と。


繰り返しになりますが、先天的・後天的の両方の能力が必要とされるのは、数学に限りません。
他の科目にも、スポーツにも、芸術にも仕事にも言えることです。
他のことにも向き不向きがあるように、当然、数学にも向き不向きがありますし、興味や意欲や、数年にわたって持続的な努力ができるかどうか、教える人の真似ができるかどうか、などが成果を決めるのではないでしょうか。

というわけで、次回からは、数学に必要な能力について、もう少し詳しくお話ししたいと思います。


つづく



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