2018年10月31日水曜日

勉強の根底にあるもの④


記憶力に個人差はあるのか?

ある!!
ってみなさん言いたいでしょう?
私も、あると思います。

その証拠をお見せしましょう。
フロリダ州立大学のケヴィン・ビーヴァーと彼の研究チームは、育児方法によって子どもの知能に違いがあるかを研究し、アメリカの中高生1万5000人を調査しました。
「親からどれだけの愛情を注がれたか」
「親と会話をする時間」
「どれだけ親と過ごしたか」
しかし、それらはいずれも、IQに何らの影響を及ぼさないことがわかりました。
つまり、IQは両親から受け継いだ、遺伝なのです。

パネルをご覧ください。







論理力や空間性知能は70%以上が遺伝であると、慶應義塾大学の安藤寿康教授が示しています。
もう、記憶力が悪いのは遺伝ということで決まり!
なのでしょうか?
「あたしバカだからわかんな~い」
が正しいことになります?


しかしところが、この事実は、先に述べた「記憶量は無限」と大きく矛盾することになりそうです。


IQは遺伝である」と「記憶量は無限である」は同居するのか?



このことを考察するには、IQと記憶力との関係がどのようなものなのかを知る必要がありますね。
一般に、IQを測定するためのテストには記憶力に関するものがありますから、相関関係はありそうです。
しかし、果たして「長期記憶」に関しては、IQで測れるのでしょうか?
結論から言えば、IQを測定するためのテストでは、長期記憶が測れるはずもありません。
だって、その場限りのテストですから。
IQを測定するためのテストでは、短期記憶のみを対象とせざるを得ません。
だって、1か月とか監禁してテストしないでしょう?
IQを測定するためのテストでは、長期記憶は測れないんです。

そこで、では、短期記憶と長期記憶の関係を考えましょう。

Wikipediaによると、記憶は

「感覚記憶」(1~2秒)→「短期記憶」(数秒~数十秒)→「長期記憶」という経路をたどるとされます。
「感覚記憶」は見たり聞いたりしたときに目や耳から入ってくる情報で、必要がないと判断された情報はすぐに捨てられ、必要だと判断された情報だけが「短期記憶」に送られます。
「短期記憶」をつかさどる領域で、「リハーサル」(覚えようと思って繰り返し念じたりすること)という行為を通じて「長期記憶」へ送られます。
「リハーサル」を行わなかったことがらは、人は忘れてしまうようです。
そしてこの「短期記憶」、人によって「7±2」の差しかないそうです。
どういうことかというと、意味のない数字や文字の羅列や、意味のない単語の羅列は、たとえ個人差はあっったとしても、数秒では誰もが5コ~9コしか覚えられないのです。
これを差と呼ぶべきでしょうか?
たとえ同じ人であっても、その時々の調子によって左右しかねない数字じゃありませんか?

ではなぜ、記憶力に差があるように感じるのでしょうか?

それは、「長期記憶」の種類と、「長期記憶」が行われる場所にあります。
「長期記憶」にも実はいろいろな種類がありますが、私たちが「記憶」と意識しているものは「エピソード記憶」と「意味記憶」です。
「エピソード記憶」は日常生活における記憶で、「意味記憶」は試験などのために覚える記憶です。
ふつう、「エピソード記憶」は記憶に残りやすく、「意味記憶」は記憶に残りにくいものです。
なぜでしょう?
これは、記憶が行われる脳の場所に秘密があると思われます。
長期記憶の保存場所は、誰でも「大脳新皮質」ですが、「短期記憶」から「長期記憶」への移行の際に「海馬」と呼ばれる場所を通過します。
その海馬には、すぐ隣に、感情をつかさどる部分があり、この感情をつかさどる部分が記憶に影響を与えていることが分かっています。
つまり、感情と一体化した「エピソード記憶」は長期記憶に残りやすく、感情を伴わない「意味記憶」は長期記憶に残りにくいのです。
そして感情を伴わない「意味記憶」を長期記憶に残すためには、繰り返し覚える必要があるのです。
このことは、私が旧「勉強法の真実ブログ」で提唱した、

記憶は 印象の強さ×繰り返しの回数 で決まる!

説を裏付ける、科学的根拠です。


つづく と思います。



ご意見・ご連絡は・・・

へおねがいします。

2018年10月23日火曜日

勉強の根底にあるもの③


勉強の根底にあるもの

それは早期教育でも規則正しい生活でもなく、ただただ、エネルギーにあると思われる。

シリーズ「勉強の根底にあるもの」
第三弾の今回は、雑学知識について、TD風に紹介します。


みなさん、「全国高校生クイズ選手権」ってご存知ですか?
これって、毎年夏に行われている、2018年で第38回にもなる、超人気テレビ番組なんです。
今年は、私の地元神奈川からは、我らが?横浜サイエンスフロンティアと聖光学院が出場しました。
録画予約をし損ねて、結果は知らないんですけどねww

さて話を「高校生ウルトラクイズ」に戻しましょう。
あ、正式には「全国高校生クイズ選手権」ですよ。
でも私の青春時代には、大人版の「アメリカ横断ウルトラクイズ」が人気を博していましてね、「全国高校生クイズ選手権」はそのスピンオフ的存在なんですよ。
とにかく内容がよく似ているんです。
スローガンも同じ。
だったかな?w
私の記憶に間違いがなければ、それは「知力・体力・時の運」です。
問題も難しい。
世界史や美術に関する問題なんか、私には1つもわかりませんw
ところが日本の優秀な高校生たちは、問題がぜんぶ読み上げられる前に解答し、さらに「体力」ゾーンにダッシュしていくんです。
それは大人版と同じ。痛快です。
大人版と違いがあるとすれば、大人版はアメリカ大陸を横断しながらニューヨークを目指すのに対し・・・ああ、ここで福留さんの「ニューヨークにいきたいかあ!?」を思い出しました・・・「高校生ウルトラクイズ」はアメリカ大陸そのものが目的地である点。
この点は、教育的見地からも予算からも納得できます。
また、大人版は個人で出場、高校生版は同じ高校の3人一組で、高校名で出場します。
このへんが甲子園っぽくて、慕情をそそりますな。

さ、「全国高校生クイズ選手権」についてみなさんにイメージを作っていただいたところで、その優勝校の名前をざっと、本当にさっとご覧ください。
テロップは長いですから、画面酔いしない程度に見てくださいねw

(大画面テロップ)
1    山形県立山形南高校64
2    宮城県第一女子高校68
3    東京都立江戸川高校57
4    岐阜県立加納高校66
5    宮城県仙台第二高校71
6    私立東大寺学園高校77
7    山形県立山形東高校68
8    静岡県立静岡高校71
9    栃木県立宇都宮高校71
10  北海道札幌西高校71
11  福井県立高志高校65
12  茨城県立水戸第一高校71
13  私立ラ・サール高校(鹿児島)76
14  栃木県立石橋高校65
15  鳥取県立米子東高校68
16  愛媛県立西条高校57
17  青森県立弘前高校68
18  国立筑波大学附属駒場高校(東京)78
19  北海道札幌南高校71
20  三重県立川越高校64
21  山口県立宇部高校67
22  北海道旭川東高校66
23  私立栄光学園高校(神奈川)72
24  岐阜県立岐阜高校71
25  埼玉県立浦和高校72
26  埼玉県立浦和高校72
27  私立ラ・サール高校(鹿児島)76
28  私立東海高校(愛知)75
29  私立東大寺学園高校(奈良)77
30  私立開成高校(東京)78
31  私立開成高校(東京)78
32  私立開成高校(東京)78
33  私立慶應義塾高校(神奈川)75
34  京都府立洛北高校61
35  埼玉県立浦和高校72
36  私立灘高校(兵庫)79
37  私立桜丘高校(三重)42

はい、横っちょに偏差値もつけてみました。
下衆ですねww

どうですか。この偏差値。
高いですねえ。
こんなに高い偏差値の高校生が何やってんだ! 勉強しろ!!
って言いたくなりません?
私も正直、そう思いますw

突然ですがみなさん、人間ひとりひとりに、勉強のキャパシティってあると思いますか?
ここでいう「勉強のキャパ」は、「もうこれ以上できない。もう覚えられない」という「量的」限界、と定義しましょう。

・・・あるような気がしますよねえ?w
「もう無理! 覚えらんない!!」
とか
「後ろの方覚えると、前の方忘れちゃってる!」
とか。
誰もが経験し、一度は弱音を吐いたことがあるセリフだと、私は思うんですが。
あと、英語の成績が上がったけど他が下がってトータルプラマイゼロ、とか。
こうなると、
「俺ってこのあたりが限界なんだなあ・・・」
なんて思ってしまいますよね。

ところが、医学はそれを許してはくれませんでした!
ミズーリ大学の認知心理学者であるネルソン・コーワン氏によれば、
「記憶はニューロン回路によるのであり、記憶の1つ1つが脳の一部を埋め尽くすようなものではない。ニューロンによるネットワークは理論上無限であり、つまり、理論上記憶は無限である。」
だそうです(超要約)。

ということは、つまり、覚えられないとは、単なる、

努力不足!

で決定ということ。(涙涙)

でも・・・
なんか納得できませんよね?
全国高校生クイズに出場するような子は、勉強もできれば雑学もよく知っているわけで。
それは「記憶力がいい」ってことでは?
つまり記憶力には個人差があって、その限界量にも個人差があるのでは?
って考える方が現実的だし実情に見合っていると思うのです。

そこで、次の疑問を調べてみましょう。

記憶力に個人差はあるのか?


つづく