2017年3月24日金曜日

パリピとオタクと その2




前回の記事では、ずいぶんとオタクを擁護しているようにも感じられたが、そういう意図ではない。
ウチにいたM上なんかは典型的パリピだが、一見ガサツに見えて、コミュニケーションも配慮も誰より優れていた。いや、上からでなく、すごいな、と思っていた。
逆に、オタクであっても発言や態度が無配慮な人もいるし、だから、パリピかオタクか、なんていう分類は無意味だろう、と言いたかったのだ。
オタクもパリピも、正確な定義なんてないしね。

さて、前々回、偏差値50の高校から青山学院に現役合格したNくんの話を書いたが、彼はどちらかというとオタクである。いや、であった。
今はすっかり普通の大学生になってしまっているが、アニメが好きだったからという過去と、本文の都合上、無理やりオタクに分類したい。
そしてもう一人、Nくんと似たタイプの子がいたので、書きたいと思った。


県立F高校。偏差値53。当時3年間、MARCHへの合格者、ゼロ。
そんな超厳しい環境の中、現役で明治・中央・青山・・・とMARCHを総ナメにしたのが、Iくんだ。
合格の一報には、高校の先生もたまげていたらしい。

Iくんは自宅から1時間をかけて港南台まで通ってくれた。学校とも反対方向だ。
高1のはじめに入会して以来3年間、振替もほとんどしなかった。
その努力が実を結んだと思えば、世の中公平だろう。

彼は話し方、趣味などから、オタク風味を漂わせていた。
穏やかな子で声がすごく小さかったが、ぼそっと話す一言が面白かった。
ひと言で笑いが取れるのだ。言葉をよく選んで話しているのだろう。
私が明治合格おめでとうを言ったときも、
「ふふっ、湘南の下位3分の1・・・」
Iはつぶやいた。
つまり、県立湘南高校からでも3分の1の生徒は明治以下しか合格できないのに・・・(以下略)と言っているのだ。
ブラックユーモアだろう?

で、Iくんは部活動こそしてなかったが、楽器やスポーツもやっており、多趣味な子だった。
しかし、一番好きなのは、やはりゲーム。
「ゲームから得るものもある」とIくんは語る。
とはいえ、ゲーム好きとは聞いていたが、ゲームの詳しい話は聞いたこともなく。
相手によって話題を変えていた証拠だろう。
コミュニケーション力の高さがうかがえるではないか。
というわけで、Iくんは私の中にものすごく強い印象を残しているのだ。

さてさて、IくんやNくんのように、ごくごく普通の高校から、それもMARCHなんてほとんど合格者が出ないような高校から、なぜあっさりとMARCHに受かってしまうのだろうか。
もちろん、彼らの勉強姿勢を見ていれば、決して楽々合格したわけではない。
しかし、彼らの親御さんも私も感じていたことだが、脇目も振らずにガリ勉していたかというと、全然そんなことはない。
むしろ、「えっ? それだけでMARCHに合格できるの?!」っていうくらい、大して勉強していない。私たちの受験時代に比べれば、甘い。甘すぎる。
いつになったら本気になるのかな~? なんて見ているうちに、本番当日を迎えてしまった、という印象である。
悲壮感はカケラもなく、歯を食いしばるような表情も見たこともなく、いつもニコニコしていた。

うん。ここで私は、NくんとIくんに共通するものを感じている。
1、オタク気質がある。
2、コミュニケーション能力が高い。
3、文系で、数学受験である。
4、いつも笑顔で、めったに怒らない。
5、我は強いが、アドバイスを聞き流さず、ちゃんと是非を判断する。
6、通塾期間が長い(Iくんは3年、Nくんは6年)。
7、テキストを途中で止めず、やりきる。
8、高校や私生活で無理をしておらず、精神的に健康。
9、学校のテスト勉強はしない。点数は気にしない。
10、学校の進度は無視、自分のペースで勉強する。
11、高2の間に英検2級に合格している。
12、悲壮感を漂わせない。いつも前向き。
13、塾に長時間いる。
14、現代文が得意。
などなど、主観・客観入り混じっているが、こうして書き出すと、なんとなんと共通点が多いことか!

明治や立教はMARCHの中でも難しく、簡単に入れる大学ではない。
ウチから慶應に入った3人のうち、2人は立教に落ちているのである。
それくらい、MARCH上位は難しいのだ。

ちなみにIは早慶を受験しなかったから、彼の実力はまだ底を見せていない。
この先、Iがどんな人生を歩むのか、楽しみだな。 
ここでもう一度ビル・ゲイツの言葉を。

「オタクには親切にしよう。彼らの下で働く可能性が高い。」



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