2021年3月7日日曜日

青山学院大学へ<長編><無許可掲載> 最終回

 合格までの具体策

まあ、小話はこれくらいにして、実際にYがどんな勉強をしていたか、思い出してみましょう。

授業はたったの週200分。予備校に比べればはるかに少ない授業でした。

Yは夏期講習や冬期講習の追加も一切しませんでした。

おのずと自習が勉強の中心になります。

Yが一人でできることといえば、世界史と英単熟語と英文法だけでした。

語順整序なんか、一人でやっても無駄でした。

でも、自習でひたすら暗記をしていたおかげで、世界史は慶應大学合格者と肩を並べるまでになっていたのです。

MARCHであれば、得意科目(偏差値70以上)が1科目あれば、合格可能性は高くなります。

逆に、偏差値70以上の科目が一つもないと、合格可能性は著しく低くなります。

Yが青山に合格したのは、世界史という科目選択によるところも大きかったといえます。

 

英語の授業は、ひたすら文法と語順整序でした。

それでもYは、何回やっても完ぺきにはなりませんでした。

Yは自習でも文法の復習を何度もやっていたのですが、どうしても知識がこぼれていく。どうしても見落とす。

授業で扱った7冊の文法テキストを、復習で3回ずつ繰り返していましたが、

それでも“ランダム英文法標準編”や“ファイナル英文法標準編”のレベルで取りこぼしをします。

MARCHに合格するためには、これらは99%・楽々・秒速でできなくてはならないのですが、試験直前でもYは、85%・苦渋・分速でした。

 

長文読解は、一切取り扱いませんでした。

長文でも内容一致以外は文法で解き、内容一致はなんとなく取れればいいんです。

 

この点、ついでに言えば、現代文も古文も、内容を読まずに問いだけを見て解く、という方法を徹底しました。

だって、読んでもわからないんだから、読むだけ無駄ですよね?

古文なんか、品詞分解をすると内容がわからなくなり、内容を追うと品詞を無視するのです。助動詞2つが重なると、ほぼパニックに陥ります。

それでもなんとか話を読み取ろうとしますが、「どんな話だった?」と尋ねれば、単なるでっち上げを答えていました。

ですから、問いだけを見て解く、という方法が、最も合理的だったのです。

Yもそれを理解して、

「現代文と古文は読まない!」

と、自分に言い聞かせるように宣言していました。

 

そのようなわけで、模試の最終的な偏差値は、英語50、国語50、世界史70くらいでした。

青山の判定は、浪人の11月で、E

まるで現役生の成績です。

でも、人生でのトータルの勉強量は普通の現役生にも及ばないのですから、それも当然と言えましょう。

 

このころから過去問演習に入るのですが、いやはやそれにしても、なぜ、どうやって受かったのでしょうかねえ?

実は、このころようやく、英語や国語の語彙力がついてきました。

単語・熟語・漢字・現代文の語句を覚えてきたのです。

これは、地味ですが強力な武器なのです。例えるなら、足軽が甲冑や鎖帷子を身に着けたというところです。

つまり、最低限、“即死しない”レベルになったのです。

MARCHを受験するのに漢字が書けない、単語を覚えていない、というのは実に致命的で、そういう人はまず合格しません。

授業でいっしょに過去問を解いていて、語彙力が入ったことを私は最も身近で感じていました。

ならば、あとはテクニック。ひたすらテクニック。

理解はどうでもいい。テクニック、テクニック、テクニーーーーック。

 

受験直前、YMARCH合格可能性は、50%だと思っていました。

合格可能性50%ということは、私は、“4回受ければ1回受かる”と認識しています。

そして、Yにもそのように伝えました。

そして、Yは私の言うことを素直に聞いて、青山を1つ、法政を3つ、受験しました。

 

 

2月下旬。

Yは、

「青山に受かりました」

と、自宅は遠いのに、わざわざ教室に報告に来てくれました。

教室は、

ザワ…ザワ…

と、私一人でザワザワしていました。

だって、2月下旬の日中なんて誰もいなかった・・・ような気がします。

実は・・・

あんまりそのときの詳細な記憶がないんですよ。残念ですが。

ただただ、恥ずかしそうな、バツの悪そうな、なんか悪事でも露呈したようなYだけが印象に残っています。

(昨年度の途中経過)


余談。

法政は、3つとも不合格でした。

偶然にも、私が言った通り、“4回受ければ1回受かる”という結果になりました。

ちなみに、成蹊大学の入試では、Yのヤツ、またマークをずらして書き、補欠でした。

 

後日談。

実は受験直前、私はYに、

「法政と青山、両方受かったらどっちに行きたいの?」

って聞いたら、Y

「法政です!」

って言っていたんですよ。

だから私は青山に合格したYに、

「法政じゃなくて残念だったな」

って声をかけたんです。

ところが別のヤツにその話をしたら、

「ああ、あれですね。Yのやつ、青山って言ったらおこがましいと思って、つい法政、って言っちゃったんだそうです。本心では青山に行きたかったみたいですよ。だからオーライです!」

だと。

ったく、どこまで・・・・

 

現在のYですか?

タ〇コ吸いながらパ〇ンコやってるらしいです。

4年間で卒業できるかどうか、危ういらしいです。

いいんじゃないですか?

Yの勉強ぶりを目の当たりにしていた後輩の中に、

「あの人が受かったんだから、アタシもがんばれば・・・」

と言う子も出てきています。

Yは今、すべてのホンモノたちの星になったんです!

出典 カメレオン コミックス47巻



ご意見・ご連絡は・・・

へおねがいします。 

 

 

 

 

 

0 件のコメント:

コメントを投稿