2017年7月13日木曜日

数学について その5



それでは、次の問題はどうでしょう。

次の式を因数分解しなさい。 
x+14x-32
  

上の問題は、-32の部分は前問と同じですが、xの係数が-4から14へと変わっています。
これを解くためには、かけて-32、足して+14になる数字の組み合わせを探します。
答えは16と-2です。
よって答えは、
x+16)(x-2)
となります。
この問題になると、解ける子の割合が少し減り、解くスピードも少し遅くなります。
理由はもうお分かりだと思いますが、かけて-32、足して+14になる数字の組み合わせが、九九にない数字だからです。
これはまだ数字が小さいのでまだできる子が多いのですが、

x-13x-48

x-14x+95

x+11x-102

となると、素因数分解を始める子がいきなり増えます。
九九にない数字の組み合わせですし、大きな素数の倍数もあるので、無理もないと思えます。
答えは、上から
x-16)(x+3)
x-19)(x+5)
x+17)(x-6)
となります。
私たちも無理な子には素因数分解をさせますし、みんながみんなこれらを即答できるべき、とも思っていません。
しかし、大学受験で数学を使えるかどうかは、このあたりにも関門があります。
ではどうすればいいのか?
20までの倍数を覚えればいいのか?(インドでは20×20までの九九のようなものがある、と聞きます)
いえ、違います。
その方法では、では23の倍数が出たらどうなるのか?31の倍数は?となり、きりがありません。
数学は、これも後述しますが、できるだけ暗記をしないよう努めなければなりません。
ではどうやって対応するのか?
それぞれ考えてみましょう。

x-13x-48

について、まず、かけて-48、足して-13になる数字の組み合わせを考えます。

考え方(ご参考)
48=6×8だが、6と8をどう足しても引いても13にはならない。
よし、6×8 を 3×16 とか 12×4 とかしてみよう。

・・・ここがキモです!
48=6×8 を 48=3×16 や 48=12×4 とする能力。
なんで?とお思いの方も多いのではないでしょうか。
事実、中学生でこの式の変形?を理解して「実践」できる子は、10人中2~3人いるかどうかです。
48=6×8 の6を2×3と考え、瞬時に6から切り離し8にかけてしまうのです。
ゆっくり式で説明すると以下になります。
48=6×8
  =2×3×8
  =3×2×8
  =3×16
これを、頭の中で瞬時に行う子が、中学にいるのです。
多くの子が素因数分解を使うか、多少できる子でも1×48=48、2×24=48
・・・と時間がかかる方法で解く一方で、瞬時に回答する子がいるのです。
48=6×8 を 48=3×16 に変えることは、見た目はそんなに難しいことではないですし、理解はできるでしょう。
学校では小3で習いますし。
しかし、それを実践で使えるかどうかとなったときに、「6を瞬時にかけ算の形にして一方の数字をもう一方の数字にかける」という発想ができるかどうか。
そういう訓練をしようと思うかどうか。
考え方を面白い、便利だと思えるかどうか。
まさにそれが、高校でも数学に困らないかどうかを決めるひとつの関門だと、私は感じるのです。
なぜなら、これ以外のやり方では時間がかかるという点が一つ。
もう一つは、数字を自由自在に操作してそれが楽しいと思えることこそ、数学を武器にできる才能だと思えるからです。

話は少しそれますが、昔、勉強があまり得意でない子がいました。
でもその子はマージャンが得意で、点数計算が瞬時にできるんですね。
マージャンには親と子という立場があるのですが、親の点数は子の1.5倍です。
その子は、勉強は不得意なのに、その1.5倍の計算が瞬時にできるんです。
どうするかって?
1.5倍というのは、ある数の半分をその数に足す事なんです。
具体的には、
2600×1.5260013003900
とします。
方法を知ること、納得すること、それを便利だと思うこと、そして訓練することで、勉強が得意でない子も、これくらいできるようになります。
まして、数学を大学受験で使おうという人が、数字を自在に操れなくてどうしますか?
異論はあるかもしれませんが、私は数学ではできるだけ筆算をしないほうがよい、いや、むしろ筆算をしたら負け、くらいに思っています。
筆算をするときには「面倒くさいなあ」と思っています。
でも、数学の苦手な子は、中学生や高校生になっても、32÷2を筆算します。
15×3を筆算します。
これでは、受験で数学を使えるはずがないのです。
だって、時間もかかることながら、数の性質(倍数や約数など)もわかっていないことになるのですから。


数学の関門その2 
「数字を自在に操作できること」



つづく





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