2012年11月1日木曜日

勉強法の常識を疑うその3~英語の常識と真実2


(常識)まず、文法
(真実)まず、単語熟語と長文

文法って何だろう・・・
今回は面倒くさいので定義はやめておきます。文法のテキストに載っているようなことを文法と呼びましょう。

前回の記事でもお伝えしたとおり、目標とする英語の偏差値によって勉強法は異なる。
偏差値55以下なら単語熟語だけでオッケーだし、それ以上の偏差値なら長文の訓練をまずやるべきだと申し上げた。
しかし、高校の授業がそうであるからなのか、英語の基礎は文法だと思っている受験生は異常に多い。
いったい、センター試験や英検2級で、文法問題がどれくらい出題されるかご存知だろうか。
センター試験での純粋な文法問題はわずか数問。しかも12点である。
英検2級も同様だ。
そして大半が語句と長文問題なのである。
つまり、細かな文法問題など解ける必要はなく、読んで意味がわかる程度の文法力があればよい。
文法に費やす時間はすべて語句と長文にまわすべきで、語句と長文で十分な点が取れるようになってから、トドメに文法をやるのが最も効率がいい。
受験は時間との戦いなので、効率は絶対に重視しなければならない。
特に国立受験生は科目数も多いのでなおさらである。

しかし、本当に文法が必要ないのか? 最後でいいのか? という疑問があるかもしれない。
もし英語の試験に文法力が絶対的に必要ならば、中2で英検3級に、中3で英検準2級に合格する生徒が多数存在する事実をどう受け止めなければならなくなるか。
弊塾には、小5で英検2級に合格した子も在籍している。
彼らは果たして、先々の学年の文法までマスターしているだろうか。
経験者ならお分かりいただけるはずだが、英検対策の極意は1にも2にも語句の暗記である。
英文の意味は単語をつなげてなんとなくわかればよい。
語句問題で高得点を取り、長文問題は単語で読みきるのだ。
このことは英検2級でもセンター試験でも、偏差値50程度の大学入試問題でも同様である。

さて、ここで前回に引き続き、目標偏差値ごとの勉強法を考えてみよう。

上位大学の英語の問題はほぼ長文だけだから、一人で単語熟語を覚えられる受験生は、読解技術に専念すれば英語は伸びる。
読解技術は故伊藤和夫が確立し予備校に広まった確固とした方法があるので、どの問題集を解いても書いてあることに大差は無くなっている。
(個性的な勉強法も多く紹介されてはいるが、まずはオーソドックスな方法を薦める。
オーソドックスは王道でもあるからだ。)

ところが、単語熟語が“一人では”覚えられない受験生もいる。いる、どころではない。偏差値50以下の生徒のほとんどが単語熟語が覚えられなくて苦しんでいる。
このレベルの受験生は文法もあやふやで、文型や品詞もきちんとは理解していない。
この状態の受験生に「まず文法」をやらせても、文法だけで1年が終わってしまう。
その点でも、「まず、文法」は恐ろしく遠回りな、このクラスの受験生はとくに、絶対にやってはいけない勉強方法なのである。
大切なのは英文の意味が分かること。訳ができることだ。
訳をするのに必要な限りで文法を教えるのはよい。
訳ができれば、文法は嘘を教えてもかまわない。
このウソの文法を、“なんちゃって文法”という。
ところが、なんちゃって文法を教えられる講師は少ないので、多くの受験生が遠回りをすることになる。

さて、偏差値50以下の受験生は単語熟語を一人で覚えられないと申し上げたが、ではどうすればいいのか。
簡単である。誰かサポートがいればいいのである。
覚えているときに講師が付いていればよい。
ところが、受験生もその保護者も、授業内で暗記をして、暗記にお金をかけることを嫌う傾向がある。
講師と一緒に暗記をすることが時間の使い方として最も有効だということとは逆接的だが、暗記にお金をかけてほしくない、暗記くらい一人でやれ、という保護者が多い。
しかし、むしろ問題を解いて丸付けをすることこそ、彼らは好きで得意である。
中学時代の勉強法がそれなのであろう。
よって、ある程度単語熟語を覚え、読解技術を学び、過去問で60%程度得点できるようになったら、演習を自習でするべきなのである。
こうなった段階で、塾での授業は、決して一人ではできない、仕上げの文法となる。

ここまで読み返してシマッタと思ったので注意しておくが、私は文法をやらなくていいと言っているわけではない。
文法は“後回し”“最後”“仕上げ”だと言っているだけである。
偏差値50前後やそれ以下の大学の問題を見ると、文法の独立問題も多い。
(といっても半分くらいは熟語が混じっているのだが。)
さらに文法学習は、文法の独立問題だけでなく、長文対策にも有効だ。
単語熟語がわかっても、長文で得点できないことがあるからだ。
たとえば空所補充。空所補充では文法的な思考が問われることもある。
選択肢の短文訳をする力も、見落とされがちだがかなり重要だ。
長文の全体像が読み取れても、選択肢の意味が正確に取れなければ失点する。
下線部訳だけでなく、会話文もこの要素だ。

最近多い、「下線部の語句と同じ意味の語句を選べ」という問題もそうだ。
純粋な語彙力を問う場合(1とする)もあるが、誰も知らない語句を文脈から推測させる場合(2とする)や、多義語の文中での意味を文脈から推測させる場合(3とする)もある。
MARCH上位以上は2が多いが、偏差値55までの大学は1と3が多い。


以上、文法は“後回し”“最後”“仕上げ”にやるのが最も効率がよいことがお分かりいただけただろうか。
しかし、市販の英語テキストは、何をやっても説明に「補語が~」「副詞節だから~」と書いてあるから困る。
また、塾や予備校講師はやたら文法用語を使うかもしれない。
そんなときは、まず訳などを読んで理解できればよいと思ってくれ。
「文法は、長文が少し読めるようになったらやろう」と思っていてくれ。


次回は「速読」を切る予定。




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